真夜中の転倒

いつになく良く眠れる夜だったが母の呼び声で眼が覚めた。時計を見ると午前四時前だった。急いで母の部屋に行くと母は下半身はすっぽんぽんの状態で一生懸命敷パットが濡れたと言ってティッシュペーパーで拭いている。拭きながら「大事をした。転んでお尻を打った」と言う。何とか動いているので骨折するほどではないなと思った。周りには尿で濡れたパジャマのズボンが投げてあった。パンツが見当たらないので探すとゴミ箱に放り込んであった。直ぐに新しいパンツとズボンに着替えさせて敷きパッドも新しいものと交換した。ベッドの足元のマットやポータブルトイレに敷いているマットも尿で濡れていたので取り外した。他には濡れてるものが無かったので取り敢えずベッドへ誘導し横になってもらった。どういう状況で転倒したのか母に聞いても分からないと言うので定かでないが母の着替えをする時に痛みの訴えが無かったのでこのまま眠ってもらい様子をみる事にした。朝になって声掛けをするとお尻が痛いと言って起き上がるのに介助が必要だったが何とか歩く事は出来た。台所までは歩けたのでいつものように食卓の椅子に腰掛けて朝食を摂った。腰やお尻の辺りが痛いと言いながらも用意した食事は全部食べれたので安心した。おそらく打ち身での痛みだろうと自己判断し今日一日は安静にしておこうと午前中はベッドで休ませた。途中、トイレに起きたが自分で起き上がることが出来、杖をついてトイレまで一人で歩いて行けたのでこれなら大丈夫かなと思った。翌日はお尻の痛みの訴えはほとんどなかったので大事に至らず良かった。歳をとるとちょっとしたアクシデントが命取りにつながる事があるので油断はできないが取り敢えずホッとした。                     つづく