母のこだわり

退院後も何とか家での生活は今まで通り出来たが入院前に比べると認知力が落ちてきたように思う。以前よりもさらに言語障害がひどくなり身近の人の名前や物の名前が出てこなくなってきた。文章を書くのも難しくなり一年前は箇条書き程度だが日記らしきものもボチボチ書けていたが今は全く書こうともしない。直ぐに思い出せないと言って施設の職員さんや利用者さんの名前を書いたメモをカバンに入れて持ち歩いていて、話をしていて思い出せない時はそのメモを見て施設での様子を話すようになった。「前には出来よったのに日に日につまらんようになった」と落ち込むことも多くなった。又、施設でみんなと一緒に計算したり漢字を書いたりした時、「みんなはスラスラ出来るのに自分は全然出来んかった」とショックを受けていた。秋祭りの準備で色紙を使ってポンポン飾りを作った時も何べん説明されても分からんかった」と言うので家でも色紙を買ってきて実際一緒にやってみたが一緒にやりながら何度説明しても「分からん,分からん」と言うのだ。本当に簡単な作業なのに目の前でやりながら説明しても理解できなくなったのかと私の方がショックを受けてしまった。排便もスムーズにいかないと言う。乳酸菌を服用するようになってからはぼ毎日排便があるにも関わらず残便感がありスッキリしないと一日中気にかけてその事が頭から離れないようだ。おまけにお腹の周りのゴムがキツイと言ってはパンツやズボンのゴムを抜いてしまうのだ。私はその都度ゆるゆるに直すのだがそれでも尚ゴムがキツイと言っては抜いてしまう。歩くとずれ下がっているにも関わらずだ。最近、認知度が落ちてきた母は説明しても理解してもらえず本当に困ってしまう。毎日がこの繰り返しである。又、異常なほどの寒がりで冬は五、六枚服を重ね着してしまう。ベッドに寝ていても風がスウスウして寒いと言うのでベッドの周りをひざ掛けなどでぐるりと囲ってみるがそれでも風が入ってくるといつも言うのだ。色々な面で母のこだわりが強くなったように思う。

                               つづく