二〇二〇年を振り返って

二〇二〇年を振り返るとコロナ(新型コロナウィルス感染症)で始まりコロナで終わった一年だった。平成から令和に変った新しい時代の幕開けに期待したのもつかの間、色々な事が自粛となった。当然ながら施設の家族ぐるみの行事はすべて中止となった。お花見、秋祭り、敬老会などの行事を私はとても楽しみにしていたので残念でならなかった。もっとも今の母は施設の行事に関心がないので(施設自体に行きたがらないので)どうでもいいのかもしれないけれど。そんな中でも施設最大のイベントの因島の八朔狩りは利用者のみの参加で実行して下さった。母は相変わらず気乗りがしないようで「車に酔うから」などの理由を言って「行かない」と言っていた。私も無理強いはしないように母には「行きたくないなら仕方ないね」と言いながらも内心は参加して欲しかったので酔い止めの薬などを用意して行ける準備はしておいた。すると何とか当日は渋々ではあるが参加してくれた。今回で五回目の参加だ。施設では全員をいっぺんには連れていけないので何日かに分けて連れて行って下さった。幸い母が参加した十二月十二日は師走にしては珍しく暖かい天候に恵まれ最高の八朔狩りとなった。行く時は気乗りしない母もにこやかに帰って来て「一緒に行った職員の男の子がとても親切で八朔をいっぱい取ってくれた」と喜んでいた。いつも母はそんな感じだ。嫌だと言いながらも行った後は結構喜んでいる。だったら最初から素直にしてくれたらと私はいつも思ってしまう。何はともあれ毎年今回が最後かもと思いながらもなんとか今年も元気で八朔狩りに行けた事がほんとに有難かった。そしてこの一年間コロナはもちろん風邪などもひく事もなく入院もする事なく過ごせて何よりだった。まぁ、年々認知症の症状が進む母に振り回される私は戸惑う事が多くなってきているけれどね。この年末はコロナ禍で娘家族は帰省せず母と二人きりではあったがその分ゆっくりと過ごせた。来年も母が元気で過ごせる事を祈っている。                        つづく